腰痛のメカニズム

つらい腰痛 身体と脳が訴える痛みのメカニズムとは?詳しくご紹介

厚生労働省の調査(平成28年国民生活基礎調査)によると、日本人の4人に1人が腰痛に悩まされていると推定されます。身体不調の自覚症状では男性では腰痛が第1位。女性も2位と上位を示し、年齢層は高齢者から若者、児童にまで及んでいます。しかし腰痛の原因は多岐にわたり、明らかな病名がつくものばかりではありません。ここでは症状や生活習慣から見た腰痛のメカニズムをご紹介します。

1. 腰痛とは?

1-1. 腰痛のほとんどは病名や原因がわかりにくい

腰が痛い、腰が張る、しびれや違和感がある…腰痛とは病名ではなく、あくまで腰に痛みや不快感がある症状の総称です。しかしそうした症状を抱えながらも、余程悪化しない限りきちんと受診する人は意外と少なく、病名や原因がわからないまま湿布を貼ってやり過ごすケースも多いものです。実は腰痛と言われるものの中で原因を特定できるものは15%程度で、そのほとんどは原因がはっきりしないと言われています。

1-2. 腰痛の種類

腰痛は痛みの原因が画像診断などで特定でき手術の必要があるような特異性腰痛と、原因が特定できない非特異性腰痛があります。

【特異性腰痛の主な原因】

  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰部脊柱間狭窄症
  • 骨折
  • 感染性脊椎炎
  • 尿路結石
  • 解離性大動脈瘤
  • がんの骨転移

重篤で緊急性を伴うものが多く、整形外科の範囲に限られるものばかりではありません。
特異性腰痛の場合、見落としたくないいくつかの危険信号があります。

  • 発熱 肛門や性器周辺の灼熱感
  • 鎮痛剤を飲んだり安静にしたりしても痛みが軽減しない
  • 下肢にしびれがあり力が入らない
  • 尿が出にくい、尿もれする

こうした症状がある場合は、至急専門医への受診をおすすめします。

一方、非特異性腰痛は〈原因がはっきりしない〉〈危険性や緊急性がない〉腰痛のことで、さほど心配しなくても良い腰痛です。激しい痛みとともに動けなくなるぎっくり腰も実はこの非特異性腰痛で、画像診断では原因が特定できないことが多いのです。

2. 腰痛が起こる根本的要因

2-1. 人類の進化が腰痛を生み出した

命に関わるほどではない非特異性腰痛ですが、それでも日常的に痛む腰痛は辛いものです。実は人間は、腰痛になりやすい生き物だったのです。

四足歩行だった猿が直立二足歩行の猿人類に進化したことで、人類は前足を自由に使えるようになり、脳が著しく発達しました。しかし反面、直立二足歩行にはあるリスクがつきまとうようになりました。

2本足で立つ時、背骨は上半身の重さを直立状態で支えなければならず、腰には大きな負荷がかかります。バランスを取るために背骨はS字カーブを描くように進化したのですが、骨盤は4足歩行時代のまま30度前傾しているため、脊椎や周辺筋肉への負担が大きく、結果的に腰痛になりやすい身体になったのです。

2-2. 日本人は欧米人に比べ腰痛になりやすい?

腰痛は国民病とも言われていますが、日本人が欧米人に比べ腰痛になる割合が高いのには理由があります。

  • 日本人は骨盤が後ろに傾斜した猫背体格のため、身体を支える大腰筋が発達していない。
  • 椎間板が欧米人に比べ薄いため、骨同士の衝撃を吸収しにくい。

しかし、こうした自分では改善できない根本的要因だけでなく、腰痛を引き起こしてしまうのにはさまざまな原因があるのです。

3. 非特異性腰痛の原因は動作・姿勢・加齢・心因的ストレス

3-1. 運動器の不具合と脳機能の不具合が腰痛を引き起こす

腰痛は人類誕生の時から備わった身体的要因に加え、日常生活の動作や姿勢から骨・筋肉・靭帯などの運動器が不具合になることと、心因的ストレスからくる脳機能の不具合により発症します。非特異性腰痛は原因が特定しづらいといっても、運動器か脳機能の不具合、もしくはその両方によって引き起こされるものがほとんどです。

4. 運動器の不具合からくる腰痛

4-1. 無理な動作や悪い姿勢が原因の場合

年齢を問わず腰痛で最も多いのが筋肉の痛みです。腰はもともと負荷がかかりやすい場所ですが、無理な動作や姿勢で腰周辺の筋肉に負担がかかると痛みを引き起こします。たとえば過酷な運動や重いものを持ち上げ運ぶ動作、猫背や反り腰姿勢、高すぎるヒール靴での立ちっぱなしなどによって腰の筋肉は疲労、損傷し腰痛となります。

またデスクワークにおいても椅子の腰掛け方や足組み、座りっぱなしなどによって腰の筋肉が固まり痛みの元となるでしょう。その他、日常的な運動不足でも腰の筋力が衰えたり柔軟性が低下したりして腰痛を発症しやすくなります。

こうした生活や仕事の習慣で起きる筋肉疲労は、本人が気づかないまま溜まってしまうことが多いので、慢性的な腰痛になりやすいのが特徴です。

4-2. 加齢が原因の場合

加齢は骨や関節、靭帯などの形状を変化させ運動機能を衰えさせます。骨密度も年齢とともに低下し骨粗鬆症になると、もろくなった骨はちょっとした動作でも潰れてしまい、圧迫骨折を引き起こします。一度圧迫骨折を起こすと次の圧迫骨折を招きやすく、痛みや動きにくさから腰や背中が曲がり慢性の腰痛へと発展してしまうでしょう。

椎間板も加齢によって外側の線維輪が変形し断裂してしまうことがあります。すると中の髄核というゲル状のものがずれたり突出したりしてしまい、椎間板の衝撃吸収剤材としての役目が果たせず、背骨同士が直接ぶつかり合うことで腰や背中に痛みが現れます。この髄核の突出で神経にまで触れて激痛が走るのが、特異性腰痛の椎間板ヘルニアです。

5. 心因的ストレスからなる脳機能の不具合

5-1. 心因性腰痛とは?

原因がはっきりしないまま慢性的な腰痛に悩む人は多いものですが、最近注目されているのが〈心因性腰痛〉という言葉です。心因性腰痛とは痛みに見合うほどの解剖学的病変が見当たらないが、心理的要因により痛みを感じる腰痛のことです。

原因となる疾患究明のために執拗に病院巡りをする人もいますが、ほとんどの場合、肉体的には問題なしという診断が下されます。しかしその痛みは決して本人の思い過ごしではなく、実際に感じるものです。

また例え病変があって手術で治った人でも、また再発するのではないかという不安やストレスから、わずかな痛みに強く反応することもあります。

5-2. 心因性腰痛の特徴的症状

  • 痛みが長く続いたりぶり返えしたりする
  • 姿勢や動作を変えてみても痛みに変化が現れない
  • うつ、ヒステリー
  • うつが伴う場合、午前中に痛みが出やすい
  • イライラが高まると痛みが強くなる
  • 食欲不振
  • 不眠

痛みの原因が身体機能的なものならその部分を治療すれば症状は軽減するのですが、心因性の場合、その人が抱える精神的ストレスがなくならない限り症状は続きます。しかも本人でさえそのストレスが何なのか気づけない場合もあり、心療内科での受診や治療が必要になることもあります。

6. まとめ

身体機能に原因がある腰痛でも心因性の腰痛でも、その人に合った改善法や予防法を見つけることはとても大事なことです。とくに非特異性腰痛の場合は、痛みの原因を特定化することがなかなか困難なため、自分の状態を包み隠さず相談できる医師や施術スタッフが側にいることはとても心強いものです。

画像診断だけでは分からないことも親身になって話しを聞き、身体に触れることで痛みが和らぎ原因を究明できることもあります。

「太田ウィル整骨院」では一人ひとりの患者様と真摯に向き合い、足先から首までくまなく施術することによって、腰はもちろん全身の健康づくりへと導きます。腰痛でお悩みの方、いろいろな治療を試みたけれどスッキリしない方も、どうぞお気軽に当院にご相談ください。

ウィルグループ整骨院 公式ページ